2019年3月11日月曜日

在世フランシスコ会会則公布40周年によせて

 昨年、在世フランシスコ会は、現在の会則が認可されて40周年を迎えました。
 このことを思いめぐらしながら、フランシスカン家族の第一会に属する三つの会の総長様たちと律修第三会の総長様が、「総長協議会」として書簡(回状)を発行なさいました。この書簡は、フランシスカンの第一会、律修第三会はもちろんのこと、在世フランシスコ会、ユース・フランシスカンの方たちにも宛てられていますので、このブログで共有できたらと思います。
 ちなみに、ユース・フランシスカンとは、以前ヤング・フランシスカンと呼ばれていたもので、聖フランシスコからのメッセージに照らされ、在世フランシスコ会会則から霊的糧を受けながら活動する若い方々のグループです。




フランシスカンの第一会と律修第三会の総長協議会

在世フランシスコ会会則公布40周年によせて
すべての兄弟たちと
在世フランシスコ会(OFS)の姉妹兄弟、
ユース・フランシスカン(GiFra)に宛てた
フランシスカンの第一会と律修第三会の総長協議会の回状


 親愛なる姉妹と親愛なる兄弟の皆さん、主があなたがたに平和を与えてくださいますように。


1. 40年:象徴的な時
 1978年6月24日、聖座は、使徒的書簡『セラフィクス・パトリアルカ』を通して、在世フランシスコ会の刷新された会則を認可しました。これを認可したのは教皇パウロ六世です。彼は、近年列聖されました。若い頃には、聖フランシスコ第三会の志願者でもありました。教皇パウロ六世は、亡くなる数週間前に在世フランシスコ会の会則という賜物をフランシスカン家族にくださいました。この会則認可から既に40年が経ちました。この記念の年は、祝いの書簡を皆さんに送るのに素晴らしい機会だと思います。ご存じの通り、聖書では40という数字には象徴的な意味があります。つまり、一つの世代の期間は40年であり、成熟した上で決断する時期を意味するように思えます。したがって今年は、在世フランシスコ会の姉妹兄弟が生きているすべてのことについて主に感謝するのにふさわしい機会でしょう。また、フランシスカン家族全体にとってこれほどとうとい会に新しい勢いを与えるためにもふさわしい機会でしょう。


2. フランシスカン家族における在世フランシスコ会
 「熾天使的師父であるアシジの聖フランシスコは、存命中もまた死後においても、彼が創立した修道家族の中で神に仕えようという望みを多くの人々に生じさせました。同時に、多くの信徒が世にあって可能な形で彼の教えに生きるよう惹きつけました」。この言葉は、1978年にパウロ六世が署名した会則認可の使徒的書簡の最初に見られます。聖フランシスコの体験を通して教会においてキリストに従うというキリスト者の生き方が様々な形で生じたことを思い起こしています。
 「聖霊によって教会の中に呼び起こされた霊的家族の間で(『教会憲章』43)、フランシスコの家族は、アシジの聖フランシスコの足あとをたどって、キリストに従うように召されていると感じる信徒、修道者、司祭など、それらすべての神の民のメンバーを一つに集める(教皇ピオ12世『聖フランシスコ第三会への講話I』1956年7月1日)。これらの人々は、活気に満ちた相互の交わりによって、手段や形式は異なっても、共通の熾天使的師父のカリスマを教会の生活と宣教活動の中に実現させようと望んでいる(『信徒使徒職に関する教令』4、8)」(在世フランシスコ会会則第1章第1条)。
 したがって、既に聖フランシスコは、「どのような立場の生活の人であっても主に深く仕えることができる」とはっきり感じ取っていたように思えます。このように聖フランシスコは時代に先駆けて、教会においてあらゆるキリスト者が聖性に呼ばれていると意識していました。このような認識は、第二バチカン公会議で力強く強調されました。そして近年、教皇フランシスコも使徒的勧告『喜びに喜べ』(10番)において思い起こしています。「これほど多くの優れた救いの手段に恵まれているすべてのキリスト信者は、どのような生活条件と身分にあっても、各自自分の道において、父自身が完全にもっている聖性に達するよう主から招かれている」(『教会憲章』11)。実際、〔在世フランシスコ会の前身である〕聖フランシスコ第三会は歴史をたどると、数多くの聖性の賜物が見られ、豊かです。最も有名な聖人と聖女から一部をあげようとすると、次の人々の姿を思い起こすだけでも十分でしょう。フォリーニョのアンジェラ、スウェーデンのビルジッタ、ジェノヴァのカタリナ、ハンガリーのエリザベト、ヨハンナ・ベレッタ・モッラ、ヨハネ・ボスコ、ヨハネ23世、ヨセフ・モスカーティ、フランス国王ルイ9世、コルトーナのマルガリタ、ピオ10世、トマス・モアがいます。〔この会の〕聖人と福者を古い時代から並べていくと、その長い一覧表の最後には、2018年9月22日に列福されたベロニカ・アンタルがいます。〔在世フランシスコ会の前身である〕聖フランシスコ第三会は、この「熾天使的聖性を素晴らしい形で多彩に開花させ」、わたしたちのカリスマを豊かに表現する上で自分たちの会が必要であることをあらゆる場所で示してきました。


3. 今日の課題と教会の使命
 教会が今日取り組むべき課題は、数多く複雑です。しかし、わたしたちが生きている時代は、まさに「〔神が深く働きかけられる〕時」であり、「新しい福音宣教の段階」を生きることができる特別な恵みの時代です。教皇フランシスコが使徒的勧告『福音の喜び』においてわたしたちをこう招いているとおりです。「洗礼を受けたすべての人には例外なく、福音宣教に駆り立てる聖霊の聖化する力が働いています。……洗礼を受け、神の民のすべての成員は宣教する弟子となりました(マタイ28・19参照)。教会の中の役目がどんなものであっても、また信仰の素養に差があっても、洗礼を受けた一人ひとりが福音宣教者なのです」(119-120)。教皇は、教会が外に開かれ、分裂、不正、苦しみに満ちたこの世において地理的な側面や実存的な側面で遠く離れているところに出かけるよう招いています。わたしたちはフランシスカンとして、とりわけこの招きと調和した感覚を抱きましょう。熾天使的師父聖フランシスコの模範に従い、福音に基づく普遍的な兄弟的交わりを築き、特に最も貧しい人と困難に直面している人のことを特に考え、被造物、平和、正義を守るために働くよう呼ばれています。聖フランシスコは、「殊のほか、被造物と、貧しい人や見捨てられた人を思いやりました。……自然への思いやり、貧しい人々のための正義、社会への積極的関与、そして内的な平和、これらの結びつきがどれほど分かちがたいものであるかを、彼はわたしたちに示してくれます」(『ラウダート・シ』10)。このように複雑で課題の多い要求に対して、フランシスカン家族のすべての構成員の間に積極的で効果的な協力と目に見える交わりが求められています。今日、この協力関係において在世フランシスコ会の兄弟姉妹の貢献が特に求められています。


4. 互いに支え合う
 これまでにもまして、フランシスカン家族の構成員が互いに支え合い、互いに豊かになる中で協力し交わっていることがもっとはっきりと示されなければなりません。「交わりとしての教会におけるそれぞれのあり方は、互いに密接に結びついています。……それぞれ別の基本的な、混同できない性格をもち、また同時に、他のものと関係しており、互いに奉仕し合う立場にあるのです」(教皇ヨハネ・パウロ二世使徒的勧告『信徒の召命と使命』55)。
 一方、教会は、在世フランシスコ会の霊的、司牧的世話を第一会と律修第三会の兄弟たちにゆだねました。会則で次のように思い起こしているとおりです。「各段階の評議会は、交わりと共同責任の具体的なしるしとして、会憲に従って霊的補佐のために適当で、理解のある修道者を、在世の兄弟会が各世紀を通して結ばれてきた四つの修道者フランシスコ会の長上に願う」(在世フランシスコ会会則第3章第26条)。
 他方、在世フランシスコ会に所属する人々は、フランシスカン・カリスマの在世の特徴を示すよう呼ばれています。これは、在世フランシスコ会の霊性と使徒的生活の特徴です。こうして、在世フランシスコ会の人々は、自分たちに特有の召命を十分生きながら、祈りと活動によって、第一会と律修第三会の兄弟たちの召命を支えることになるでしょう。在世フランシスコ会は、第一会と律修第三会とフランシスカン・カリスマを分かち合っています。


5. 結び
 親愛なる姉妹、親愛なる兄弟の皆さん、在世フランシスコ会の会則認可40年周年にあたり、フランシスカンとして共通の召命の賜物をいただいたことを主に感謝するよう、お願い申し上げます。また、それぞれに創造的な方法で固有の使命を生きるために使徒的熱意を新たにするよう、お願い申し上げます。
 わたしたちの熾天使的師父聖フランシスコとフランシスカン家族の元后である祝福されたおとめマリアの執り成しによって、神からの祝福が皆さんの上に豊かにあるよう、心から願います。

カプチン・フランシスコ修道会総長   律修第三会総長
兄弟ロバート・ジェヌイン       兄弟ニコラス・ポリフノフスキ

コンベンツアル聖フランシスコ修道会総長   フランシスコ会総長
兄弟マルコ・タスカ             兄弟ミカエル・アンソニー・ペリー

2018年12月23日 ローマにて


翻訳
日本在世フランシスコ会 霊的全国補佐
コンベンツアル聖フランシスコ修道会 谷崎新一郎師