2017年4月28日金曜日

アジア・オセアニア会議模様 ⑪ 「JPICについて」

昼休みを挟んでさらにJPICについて
 日本にも数年前に来られたことのある国際総補佐のFr. アマンド(TOR、メキシコ)の講話と韓国、オーストラリアの実践報告がなされた後、グループに分かれてグループディスカッションと、まとめが行われました。
  JPIC、つまり!Justice, Peace and Integration with Creation、正義と平和、被造物との連帯(エコロジー)のことですが、世界中のどこでも対立や紛争、貧困、環境破壊の問題が起こっています。問題は、一つの国だけでは解決出来るものではありません。教皇フランシスコがフランシスコの『太陽の賛歌』にインスピレーションを受けて『ラウダート・シ』を出されたように、私たち在世フランシスコ会会員も、JPICの問題と取り組まなければなりません。
 この点に関して、国際総補佐のアマンド神父様、そして、韓国兄弟会とオーストラリア兄弟会の実践例が紹介された後、また小グループに分かれてそれぞれの国の取り組み、現状などを話し合いました。
  アマンド神父様は、私たちがJPICに取り組むべき根拠を旧約聖書(創世記の神による世界創造、出エジプト記のエジプトで奴隷状態にあったイスラエルの民の解放、シナイ山での十戒の契約、預言者たちの言葉)、新約聖書(ルカ4:18-19、6:20-26、ヨハネ10:10、ルカ16:19-31、マタイ25:31-46のイエスの教え、使徒言行録2:44-45、4:32-35)、教父たちの言葉、教皇たちの発言、さらに『カトリック教会の社会教説』、そして私たちの師父フランシスコの言葉に詳しく説明して下さいました。残念ながら日本の場合は、在世会としての活動はしていませんが、会員の兄弟姉妹は、それぞれ教区の教会などで様々なJPICの活動をされている方もいらっしゃると思います。


JPICについて出された分かち合いや意見は、
・ いくつかの国の兄弟会は、JPICの活動に熱心に取り組んでいるが、それは、私たちフランシスカンにとって神からの大切な呼び掛けであり、会の活性化にも役立っている。
・JPICは、フランシスカン霊性に不可欠なものだが、それぞれの各地兄弟会の置かれている状況において実践されるべきであり。
・いくつかの国においては政治状況などによりJPICの活動が難しい場合もある。
・会員があまりJPICの問題を知らなかったり、積極的でないケースもある。
・人身売買やセックス産業、家庭内暴利、多国籍企業による搾取や環境破壊は複数の国をまたがった問題で国の在世会相互の協力が求められる。
・社会の問題に関わるだけではなく、まずは、家庭内の平和を築くことが肝要。
・3R = reuse, reduce, recycle (再利用、無駄を省く、再利用) を日常の生活から心掛ける。
・未来を担う、貧しい子供たちの救育をサポートする。など。
                                                レポート 竹田文彦

      講話する総補佐のアマンド神父様


2017年4月26日水曜日

アジア・オセアニア会議模様 ⑩ 「ヤングフランシスカン」

次の課題は、ヤングフランシスカンです。


 ご存知の方もおられるかもしれませんが、よりも若い年代のための会です。15歳から30歳までのフランシスコが好きな若者の会ですが、アジア・オセアニアの各国にあり、今回もその代表が10人近く会議に参加しています。彼ら彼女たちは、修道士、修道女になる者もいますし、そのまま在世フランシスコ会の会員になるものもいますが、拘束はありません。若者たちが、全国レベル、国際レベルで繋がって、それぞれの将来を考える会と言っても良いかもしれません。
 独自の規則をもち、在世会にその指導や霊的同伴が義務づけられています。つまり、在世会と密接に結びついているのです。そしてヤングフランシスカンの代表も会議に招かれます。(在世会『会憲』参照)
  私自身、京都で活動していたヤングフランシスカンの出身ですし、東京にもヤングフランシスカンが以前ありましたが、残念ながら今は、日本にはありません。

  今日の呼び名は、ヤングフランシスカンではなく、Franciscan Youthからユフラ(Youfra)と呼ばれていますが、改めて日本でもユフラを再度作ることが望まれていますが、ただ自然発生的には生まれないので活性化の一つとして真剣に考えないといけません。これは、私たち日本兄弟会の将来の問題です。


グループ討議の中で出された課
・あまりにも多くの若者たちのためのグループがあり、ユフラを選んでもらうためには魅力と努力が求められる。
・小さなユフラグループは、どうするか?
・若者たちをフランシスカンに導くにはどうしたら良いか?
・若者たちは、就職や結婚といった転機に移動してしまう。リーダー的な中心のメンバーが抜けた時、グループ自体が消滅してしまわないように次のリーダーを見つけなければならないが難しい。(日本の意見)
・ユフラのメンバーが、在世フランシスコ会に入会しようとしてもあまりの世代の違いに驚愕してしまう。(日本の意見)
・ユフラ自体が知られていない。
・ある国の地域では司教が教会を超えた若者のグループを作ることを嫌っている。
・今日の電子機器をできるだけ活用して若者たちを惹きつける努力を怠ってはならない。
・今日、若者たちは、あまりに物質主義的なものに侵されている。これが問題。


提案
・教会、地域を越えてフランシスコに関心のある若者たちを集めてワークショップを開く。
・フランシスカン系の学校と協力してリクルートする。
・ユフラのメンバーが容易に在世会会員になれるように努める。暖かい雰囲気が必要で、大人から押し付けるような高圧的雰囲気は良くない。
・若者たちにフランシスカン霊性を様々な社会問題、貧困、エコロジー、戦争の問題に関連して伝える努力をする。
・修道会への召命と在世会への召命を互いに若者の取り合いにならないようにする。
・修道会、教区司祭とユフラの設立のために協力する。
・他方、ユフラのメンバーも教会の活動に積極的に参加して模範を示し、他の若者たちをユフラに惹きつける。
・ユフラの活動については、在世フランシスコ会国際議長団ホームページを参照する。
など


                                                 レポート 竹田文彦
写真は、参加しているユフラの代表たちです。


2017年4月25日火曜日

アジア・オセアニア会議模様 ⑨ 「会員管理の問題」

 フランシスカン・インターナショナルからの報告に続き、在世会員管理の問題に関して、韓国、ベトナム、フィリピン、各国の国際評議員から報告があり、ランチを挟んでグループ討論と討論のまとめが行われました。


昨今見られる問題は、
・会員が在世会の組織を理解しておらず、単なる信心会と勘違いしている。
・会員の高齢化により、連絡が取れなくなった、り、消えてしまう会員もいる。
・入会者の減少とともに養成不足による会員としての帰属意識が希薄になっていて、せっかく誓約してもすぐに辞めてしまう人も多い。
・退会を申し出ずにただいなくなってしまう会員も多い。
・言葉や文化の違いが障害になっているケースもある。
・いくつかの国では会員名簿が整備されていない。ある場合は、プライバシーの問題。
・遠隔地にある兄弟会には連絡も実際に行って現状を把握するのも難しい。
・いくつかの国では、霊的補佐自体が修道会への召命のためか、在世会への入会を邪魔しているケースもある。
・全国兄弟会に従おうとしない各地兄弟会の会員に関するデータを入手することは難しい。
・移民など会員の移動の際は、もとの国と移動先の国の兄弟会が協力して連絡をとることが大切である。


提案として、
・ 会員管理のための共通の書式を作成する。
・ コンピュータなどのデータベースを活用する。
・ 会員の金祝や銀祝などをきちんと把握する。
                                                レポート 竹田 文彦


アジア・オセアニア会議模様 ⑧ 「Franciscan International」

アジア・オセアニア会議4日目


 朝にFranciscan International に在世会代表として関わっている姉妹(香港人)からの報告がなされました。すべてのフランシスカン家族に属する第一会の修道士、第二会はのクララ会のシスター方、TORを始め、すべての律修第三会のシスター方、そして在世会は、フランシスカン・インターナショナルとして、 貧困、差別迫害、難民など世界の様々に虐げられている人々のために国連に代表を送り、働きかけをしています。ジュネーブ本部での活動について聞きました。日本の在世会員も全員、フランシスカン・インターナショナルのメンバーです。


                                                レポート 竹田 文彦


アジア・オセアニア会議模様 ⑦ 「財務について」

アジア・オセアニア会議の3日目


 引き続いて在世会にとって最大の課題である財務に関して国際総補佐のアルフレッド神父様、比較的財務的に上手く運営出来ているとされる韓国とベトナムの事例が紹介されたあと、小グループに分かれての意見交換がなされ、4日目の今朝、要約が報告されました。かなり色々な異なる意見が出されましたので単純に列挙します。


・財務の問題は、在世フランシスコ会の兄弟的生活において避けては通らない課題であり、霊的な生活の基盤となるものであり真剣に議論されなければならない。
・会費は、会員の会への帰属意識の問題である。自分が所属する在世フランシスコ会を支えるのは当然だと考えて欲しい。
・私たち在世会員は、神からの豊かな恵みを受けているのだからその返礼として、会を支えるために応分の会費を出すのは当然。
・会員を増やすことを怠ってはならないが、高齢や病気の会員から無理に会費を徴収することは出来ない。
・財源さえ確保出来れば在世会の将来は明るい。


問題点と改善のために
・会員の帰属意識が薄く、会費を納めない会員がいる。韓国の納入会員は82%、ベトナム の納入会員は70%。他の国は、
・自分の会は自分で支えなければならないのに分かっていない。
・すべての段階の兄弟会において会計の透明性が必要であり、同時に適切な使用に努める。
・きちんと会費を納めている会員もいるが、会費を納めない会員や、渋る会員もいる。
・兄弟会の中で経済的に困窮している兄弟姉妹のためのお金を会費よりも優先したいがダメか?
・会費を納める必要は、養成段階で繰り返し誓約を望む兄弟姉妹に言わなければならない。
・霊的補佐からお金をもらえるという誤った認識は改めなければならない。(いくつかの国で根強い過ち)
・各段階の評議会は、どうしたら効率よく会費が集められるか工夫する必要がある。
・会費を納められない会員に代わって余裕のある会員が兄弟的愛をもって2人分、3人分を納めねばならないが、かなり負担となっている。
・養成における帰属意識と会費納入の義務を伝える。
・会費が払えないので退会するという事態もおこってきている。(日本の場合)
・国際議長団は、各国の状況(会員の減少・高齢化など)経済状況に合わせて会費を納めるべき会員数、会費の額を公平に決めて欲しい。(日本の提案)
・広く寄付を募ることも必要だと思う。


 財務に関する話し合いは、今回は結論を出すというよりも各国の状況と問題点の把握を目的としたものでした。結論は、11月のローマで開かれる国際総会に持ち越し。日本は、著しく高齢化とが進行しており、大変、難しい対応が迫られています。私自身も、全国会長としては、日本兄弟会を代弁する反面、国際評議員としては、会員一人一人の帰属意識が高まり、応分の会費を納めて下さるようにお願いするしかありません。
                                                レポート 竹田 文彦

写真は、師父聖フランシスコと清貧の貴婦人の結婚と題された絵


2017年4月24日月曜日

アジア・オセアニア会議模様 ⑥ 「副総長からのコメント」

アジア・オセアニア会議3日目朝は

 私たちが昨年国際兄弟会からの宿題として取り組んできた課題に対する副総長チェリトからのコメントでした。
 先の総会で国際議長団からのリクエストとして「いかに在世会を運営するべきか」という宿題が出され、私たち日本の兄弟会も昨年取り組んだわけですが、そもそも

① 国際議長国からすべての会員に配布したのか?
② 各国がきちんと回答して来ないのはなぜか?
と問われました。

  わが国では各地兄弟会まで伝達しても上手く答えられないだろうということで、各地に下ろすか、下さないかは、地区兄弟会の判断に任せ、期限には間に合わなかったにせよ、皆様に考えて頂いてまとめて回答したものですが、アジア・オセアニア地区17ヶ国の兄弟会のうち、きちんと回答してきたのは、たった4兄弟会。ヤングフランシスカンにいたっては、たった1ヶ国の兄弟会だったそうです。
正直、驚きましたが、副総長は、この事例をあげて、各国の兄弟会の怠慢だと厳しく指摘されました。(ただし、私の意見としては国際議長団が求めている質問自体が、各地兄弟会の兄弟姉妹には難し過ぎ、何と答えて良いのか、わからなかった、また、国際兄弟会のことまできちんと認識している兄弟姉妹がどの国でも限られているので答えようがないというのが理由ではないかと考えます。)
 まあ、これは一つの事例に過ぎませんが、副総長が言いたかったのは、『会憲』第33条第2項、
「上位段階の評議会は、各地兄弟会や下位の段階の評議会が正しく行えることに介入しないようにする。むしろ彼らが正しく自分たちの義務を果たすために、その活力を尊重し、促進させる。」(補完的役割)
 「各地兄弟会と関係評議会は、国際評議会と他の上級段階の評議会の決定事項を実行に移すため、また必要ならば、それを自分たちの現状に合わせて、計画を立て、熱心に努力する。」(共同責任)
 つまり、在世会は、上から下への会ではなく、むしろ下から上、つまり各地兄弟会が望まないことを上位の兄弟会である地区兄弟も、国の兄弟会も、国際兄弟会も介入は出来ないし、してはならない。むしろ、サポートするべきである。
  ただし反面、在世会の運営には末端の各地兄弟会の一人一人の兄弟姉妹に至るまで共同責任があり、誓約して会員になるということは、そのこともきちんと認識するべきである。一人一人の会員が、地区兄弟のことにも、全国兄弟会のことにも、国際兄弟会のことにもです。もちろん会費についても。」(共同責任)
 副総長は、各地の兄弟姉妹からの要望がなければ、国際議長国は動けないと、各地の兄弟会の兄弟姉妹にも共同責任がある!かなり強い口調で話されましたが、日本もそうですが、アジア・オセアニアの他の国々でも会員の間にこのような認識は出来ていないと思います。
  たとえば、試しに他の国の国際評議員の皆さんに聞いてみたのですが、アジア・オセアニア会議や国際総会のような会議に参加するに当たって、国の兄弟会から渡航費や会議参加費をきちんと出してもらっているのは少数で、自腹を切って参加している国際評議員が多いのが現実。「お金がないのになぜ海外の会議に行くのか?」そんなふうに言われてしまうそうです。
 「上から下へ」ではなく、「下から上へ」が会のやり方だと言われても、会費や運営に関しては、「上から下へ」になってしまっている現実。まあ、会員がどれだけ在世会にコミットしているかの問題であると言われてはもともこもないのですが、・・・
                      レポート 竹田文彦 (私見も含めてレポートさせて頂きました。)

2017年4月23日日曜日

アジア・オセアニア会議模様 ⑤ 「家族について」

 第5回アジア・オセアニア会議2日目の午後のテーマは、「家族」



 私たちの副総長チェリト(ベネゼエラ人)が、同伴されたご主人と一緒に家族の意味を個人的経験も含めてお話しされた他、認可されたばかりのミャンマー兄弟会とスリランカ兄弟会の代表からのそれぞれの国の状況が報告されました。それを受けてのグループ討論の成果は次のようなものでした。


①「家族」に関する規則
 在世会は、非常に多様な文化を背景とする共同体であるが、会員の一人一人は、家族として、家庭を、また社会を生きることの価値を世の中に示していく任務がある。困難に直面しても、相互に尊敬と共感、そしてゆるしの心が必要。兄弟会は、まさにそれを学ぶ場であり、兄弟姉妹が真に家族になっていくよう招かれている。


② 「家族」をめぐる諸問題
 家族として生きていく上で最大の問題は、今日の物質主義である。様々な誘惑を社会にあふれており、人々は家族であるよりも刹那的な欲望に容易に動かされてしまう。一緒に話しもしない、食事もしないそんな家族が増えている。家族や共同体での生活よりも個人の思いが優先されてしまう。インターネットの普及などによる「家族」観の崩壊。
 もちろん、様々な理由による困難な状態にある家族や離婚者やセクシャルマイノリティーなどの人々に対する配慮も忘れてはならない。


③ 「家族」についての提案
 生涯養成の中に"Amorim Laetitia "(使徒的勧告『愛のよろこび、家族の喜び、教会の喜び』)を含み入れるべきである。(ただし、日本語訳は未刊行)
もう一度、家族の、共同体の価値を学ぶ必要がある。


                                                レポート 竹田文彦

アジア・オセアニア会議模様 ④ 「コミュニケーションについて」

2日目 午前

 本日、アジア・オセアニア会議の2日目午前中のテーマは、先の国際総会において在世フランシスコ会の優先課題とされた「コミュニケーション」です。まず、総補佐のフランシス神父様が欠席のため、代わりにアルフレット神父様のプレゼンテーション、さらに韓国兄弟会の事例、スリランカ兄弟会の事例がそれぞれの国の代表から報告された後、昨日同様に7つの小グループに分かれての討論、その結果をまとめたものが報告されました。その要点を要約すると次のようになります。

① 「コミュニケーション」の手段
 電子媒体の発達により色々な形での情報伝達が可能となった反面、やはり兄弟姉妹が顔と顔を合わせてパーソナルな関係を築くことを疎かにしてはならない。

② 国際兄弟会から各国の兄弟会への「コミュニケーション」
 国際兄弟会から出された様々な文書は、各国の兄弟会から地区兄弟会を通して各地兄弟会の会員まで伝達される必要があるが、その際、問題とな
るのが翻訳である。英語が堪能な国の場合、ただ単に文書を配るだけで事足りるかも知れないが、アジア・オセアニア地区の兄弟会は多様であり、言葉も文化も大きく異なるため場合によって誤解が生じる場合も少なくない。また、膨大な分量の文書を翻訳したり、ただ会員たちの手元に届けるだけでは不十分である。各国の兄弟会が、責任を持って内容を選んで翻訳するとともに、誤解が生じないように説明する必要が出てくる。(この点は、日本の兄弟会でも問題。特に、高齢の会員が多い状況ではただ翻訳しただけでは難しすぎて意味を成さないケースもある)


③ 異なる段階の兄弟会の間の「コミュニケーション」
 全国強打海戸地区兄弟会、地区兄弟会と各地兄弟会の間できちんと連絡出来ているか確認する。毎月会報のようなニュースレターを出している各地兄弟会は、地区ならびに全国からのお知らせなども掲載するように心がける。しかし、大事なのはできる限り実際に会って顔と顔を合わせて兄弟姉妹として話すことであり、そのためにも地区集会を開いたり、各地兄弟会の兄弟的訪問をすることが望ましい。


④ 全国評議員、全国常任評議員の間の「コミュニケーション」
 定期的な集会や、養成に関するわワークショップ等を企画して委員間の交わりを深くする。


⑤ 各地兄弟会の会員相互の「コミュニケーション」
 日本の場合は当てはまらないが、会員数の多い各地兄弟会の場合、小グループでの会合も有効である。


 「コミュニケーション」に関わる問題点として、しばしばコミュニケーションは上から下への情報の伝達に留まっているが、本来は、会員の間の兄弟愛を育てるためのものでなくてはならない。在世フランシスコ会は、「兄弟会」であり、「コミュニケーション」も情報伝達ではなく、兄弟的愛の交わりであるべきである。師父フランシスコは、全くアラビア語は話せなかったと思われるにもかかわらず、イスラム教徒の王様に会いに出掛け、言葉を通してではなく、態度と振る舞いをもって平和を伝えたことを思い出して欲しい。
                                                レポート 竹田 文彦

アジア・オセアニア会議模様 ③ 「統計から見た現状」

 昨日の養成に関する話し合いに続き、在世フランシスコ会のアジア・オセアニア地区の統計から見た現状が国際議長団のアウグスティン
さんからなされました。


 アジア・オセアニア地区の中の17の国に在世フランシスコ会のがあります。日本、韓国、フィリピン、ベトナム、台湾、タイ、ミャンマー、マレーシア、インドネシア、インド、パキスタン、オーストラリア、ニュージーランド、そして昨年に8人の会員が終生誓約をすることにより、加わったミャンマーの14ヶ国がローマ本部から承認された国家レベルでの兄弟会(National Fraternity)。これから承認を受けるべく準備中なのが、中国+香港、パプアニューギニア、スリランカの3ヶ国の兄弟会です。


 すべての国の兄弟会が、全国選挙会議をこの3年中に行った一方で多くの国は、この6年間に兄弟的・司牧的訪問を受けていないので受けるようにしてもらいたい。これら在世フランシスコ会会員が存在している国の人口は、世界の48%、カトリック人口は、12.4%に過ぎないものの、世界の在世フランシスコ会会員の21.7%が住んでいる。それぞれの国によりカトリック教徒の占める人数はかなり違う。フィリピンは、約86%がカトリックだが、日本は1%に満たない。しかし、アジア・オセアニアでは、熱心なカトリック教徒のうち在世会員は、30.8%にも及ぶ。中国のように地下でカトリック教徒が増えている国もあるが、日本、オーストラリア、ニュージーランドは、カトリックの人数そのものが減っているため在世会員の数も減少がちである。


                                                レポート 竹田 文彦

アジア・オセアニア会議模様 ② 「養成について」

21日 午後
 昨日午後は、「養成」に関して国際総補佐のFr.Alfred、さらにオーストラリア、ベトナムの兄弟会の方から報告があり、それを受けて7つのグループに分かれてのディスカッションが行われました。その結果をまとめたものが今朝、報告されました。ポイントは、3点です。
  ①養成そのものの在り方、
  ②養成における諸問題、
  ③養成担当者に必要な能力。

まず、①養成そのものに関しては、
(a) 会員の養成は、生涯を通してなされなければならないものであり、終わりがないプロセスである。
(b) 養成は、単に言葉でなされるものではなく、兄弟会会員の態度、振る舞いを通して示される先輩会員たちの具体的なフランシスカンとしての例が大切である。その意味で養成担当者だけの責任ではないし、誰でも会員の養成に関わることになる。
(c) 霊的補佐の役割も養成には重要である。
(d) 繰り返しになるが、養成は単なるフランシスカンとしての知識の伝授であってはならない。ともに兄弟姉妹として共に生きることへの具体的な招きである。

② 養成に関する諸問題
(a) 言語、文化の違いをいかに乗り越えるのか?
(b) 高齢者、少数者に対する養成はどうするのか?
(c) 遠隔地の会員に対する養成はいかにするのか?
(d) 適切な養成のためのテキストの作成

③養成担当者に求められる資質、および提案
(a) フランシスコの霊的と教会の教えについて十分な知識をもっていること。
(b) その人柄がフランシスカンとしての良い手本となり得ること
(c) 養成担当者自身が、きちんと養成された者であること。
(d) 地区兄弟会の養成担当者が、各地兄弟会の養成担当者を助けること。

 以上ですが、ほぼ日本の兄弟会でも問題として、新たな養成テキスト作成と同時に取り組まなければならない問題でした。特に今回は、「養成」は、言葉による教育ではなく、会員の行動や振る舞いを通してなされるべきことであることが改めて強調されました。また、「養成」は、養成担当者だけではなく、全員がある意味、養成者とならなければならない点も大切です。
 
                                                レポート 竹田 文彦

アジア・オセアニア会議の模様 「総長挨拶」


 第5回在世会アジア・オセアニア会議は、開会ミサに引き続いて在世フランシスコ会総長からの開会挨拶がありました。



 挨拶の内容を要約しますと、


 「在世会会員として現代を生きることは決して易しいことではありますせんが、反面、在世会員であることには非常恵まれた特権もある。そのことを再認識して、今回の会議が実り豊かになりますように願っています。

 在世フランシスコ会会員であることを改めて考えてみると、

① 在世にあること
 在世に生きることは、当然、家族、職業、社会生活といった者に責任や関わりを持つことになる。しかし、それは、それぞれが置かれた多様性の中で、それぞれの国、それぞれの兄弟会、それぞれの個人に、神は、固有の計画を与えているということである。その恵みを認識することが大切である。

② フランシスカンであること
 フランシスカンであることは、フランシスコにならってキリストを生きることある。単に知識として学ぶことではなく、実際に生きなければ意味がない。人々の中でいかにお互いに愛し合って生きるか、それが課題である。

③ 会(order)の一員であること
 単にフランシスコが好きなだけではなく、在世フランシスコ会という会の一員であることの意味を考えて下さい。愛は、決して論理的なものではなく、非常に具体的に兄弟姉妹に関わっていくことです。このことは、在世会員は、単なる霊的交わりだけではなく、会に対する組織的責任もあることになります。
 これらのことを改めてきちんと会員が認識するために重要なのが、
(ⅰ)まず養成です。会員の養成は、教育やトレーニングではありません。養成(= formation)の言葉通りの意味に注目すると、それは、form、すなわち「形に作る」ことです。つまり、一人一人の会員が、「キリストの形に作られること」こそ養成でなければなりません。
 次に大事なのが、
(ⅱ) コミュニケーションです。ふたたびコミュニケーション(communicatio)という言葉のもとの意味に注目しましょう。コミュニケーションとは、common (「共通なもの」)を見付け、分かち合うことです。
 そして、
(ⅲ)正義と平和です。平和とは、単に戦うのを辞めることではありません。愛し合い、一緒に仲良く暮らすことでなければなりません。被造物との関わりにおいても,単に自然環境を保護するのではなく、小さな石、水のひとしずくにも神の愛が宿っていることを意識して大切にすることです。
 ここに集まった多くの皆さんは、それぞれの国の会長(minister)の方も多いと思いますが、ご存じのようにministerとは、servantと同様に、語源的には「仕える者」です。それぞれの国の兄弟姉妹に仕えて下さい。でも同時に、リーダーシップも発揮して、始めに上を見て、次にまわりの兄弟姉妹を見て、神のご意志を見つけて下さい。


   在世フランシスコ会総長 ティボール・カウザー


                                            レポート(翻訳)竹田 文彦


写真は、総長のティボール・カウザー(ハンガリー)、手前の女性は、副総長のチェリート(ベネゼエラ)

2017年4月21日金曜日

本日(21日)より会議始まる






 本日より本格的な会議がはじまります。


 まず会議開催に先立って開会ミサが、バリ島司教様をお迎えしてインドネシアの民族色豊かに行 われました。
 写真を添付します。


 司教様の説教は、在世会員に信徒として宣教の役割を担うようにとの励ましでした。





                    霊的補佐たちと議長団










左から
総長、副総長、国際総補佐(コンベンッアル、インド人)、アウガスティンさん




アジア・オセアニア会議に参加

2017年4月20日(木)
在世フランシスコ会第5回アジア・オセアニア会議に全国兄弟会 竹田会長が参加


 インドネシア、バリ島に在世フランシスコ会第5回アジア・オセアニア会議に来ています。参加者が続々と集まってきました。フィリピン、ベトナム、韓国、インド、パキスタン、インドネシア、香港、台湾、日本・・・。さらに、ヤング・フランシカンと言われる若者たちも。何人かは旧知の仲で、久しぶりに再会した感です。逐次、写真などをお送りします。
            
                      竹田文彦