2014年5月30日金曜日

「聖母マリアの絵」返還式とミサ

 5月29日(木)18時より、長崎市内の「中町教会」において、パリ外国宣教会のアジア地区司祭団の生涯養成研修会を兼ねてミサが捧げられました。この中で、1600年代に書かれた「聖母マリア」の返還式が行われました。司式は髙見大司教、パリ外国宣教会総長をはじめ60名の司祭でした。

 この御絵は、浦上のキリシタンからプチジャン司教を通してフランスに渡り、カプチン聖フランシスコ会に保管されていたものです。御原罪の聖マリアの他に聖フランシスコやパドアの聖アントニオたちが描かれています。詳しくは下記の説明をご参照下さい。

 
 
 
                          古里に戻った
                        聖母マリアの御絵

                         1.御絵の説明

1.紙に描かれた水彩画
2.冠をいただいた、無原罪の聖母
3.聖母の周りに、フランシスコ会員が修道服を着けるときにしめる帯紐と同時に、清貧、貞潔、従順 
 の3つの誓願を表す3つの結び目が描かれている。
4.聖母マリアの左下には聖フランシスコ、右側にはパドアの聖アントニオ、さらに下には左から聖ク
 ララ、ほか2人のフランシスコ会の聖女が描かれている。
5.御絵の一番下に、“ブチジャン司教からの贈り物”(Don de Mgr Petitjean)と記してある。
6.専門的な鑑定はまだなされていないが、研究したシルヴィ森下さんによると、1600年代のものと
 考えられる。”ひもの組”が崇敬していた御絵にちがいない。

                      2.御絵のたどった経緯

1.1869年、日本使徒座代理ブチジャン司教が、第一バチカン公会議(1869年12月~1870年7月18
 日)に出席するため渡欧した折、当時浦上信徒の司牧の補佐をしていたポワリエ神父がフランス
 にいる叔父の神父にこの聖母の御絵を贈り物として渡してくれるよう依頼した。その御絵は、
 “oustekema”(浦上?)の信徒からいただいたものと言う。叔父のピエール・ダヴィド神父は、アン
 ジェ教区(パリの真西)のサン・クレマン・デ・ルヴェー教会の主任をしていた。
2.1908年、ポワリエ神父の叔父の司祭から説教を頼まれたアンジェのカプチン・フランシスコ修道
 会司祭が、この御絵を見せてもらい、結局、いただいて帰る。その後、カプチン・フランシスコ修道
 会フランス管区本部に保管されて、今日に至る。

                      3.御絵の里帰りの経緯

1.シルヴィ森下さん(フランス・オルレアン在住)が、2009年7月16 日に、パリ市内にあるカプチン・
 フランシスコ修道会フランス管区本部の図書館で研究をしているときに、図書館館員から勧めら
 れて、そこの古文書館に保管されていた”日本の聖母”と呼ばれている絵と出会う。プチジャン司
 教の手紙の中に描かれていた御絵のことと確信する。
2.シルヴィ森下さんが高見大司教に報告する。
3. 2013年10月11日、高見大司教がパリで御絵と対面。
4. 2013年、高見大司教がこの御絵のことをパリ外国宣教会日本管区長シェガレ神父に話し、シェ
 ガレ神父が同会総長ジョルジュ・コロンブ神父に話した。
5. 2014年4月、コロンブ神父がカプチン・フランシスコ修道会フランス管区長と談判し、里帰りの承
 諾を得、5月26日、長崎に持って来る。
 
                              (2014年5月29日 長崎大司教 髙見 三明記)

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