在世フランシスコ会の保護者
聖ルイ9世 生誕800年によせての祈り
在世で聖フランシスコの精神に活きる私たちへ、保護者である聖ルイ9世の御助けを願って次の祈りを唱えましょう。
祈りの期間
8月6日からの「日本カトリック平和旬間」より聖ルイの祝日8月25日まで。
聖ルイ生誕800周年によせる祈り
わたしたちの父である神よ、
あなたが、ご自分のしもべである聖ルイを通してなし遂げられた驚くべきみわざに感謝します。
聖ルイは、アシジの聖フランシスコを模範に従い、神の国の建設に奉仕するために、その生涯をささげました。
こうして聖ルイは、ハンガリーの聖エリザベトと共に、在世フランシスコ会の保護者に選ばれました。聖ルイがわたしたち一人ひとり、またフランシスカン家族全体と共にいるようにお願いします。
Ⅰ 聖ルイよ、
あなたは、洗礼を最も素晴らしい贈りものとして、受け取りました。
わたしたちがいただいた洗礼と在世フランシスコ会の誓約の恵みをわたしたちのうちに、 再び燃え立たせてください。
Ⅱ 聖ルイよ、 あなたは神のことばを日々黙想しました。
わたしたちが福音を生き、十字架を担われた貧しいイエスの生涯と自らの生活を一つにし、
兄弟姉妹への愛のために自らの生活をささげることができるよう、助けてください。
Ⅲ 聖ルイよ、 あなたは、若き日に罪の恐ろしさを知りました。
ヤング・フランシスカンの若い人たちが皆、公正な心で洗礼の恵みに忠実に成長することができるよう、助けてください。
Ⅳ 聖ルイよ、
あなたは夫として、また父としての愛を示しました。
わたしたちの家族がこの世にあって、一致と平和のパン種となるよう助けてください。
Ⅴ 聖ルイよ、
あなたは、貧しい人々に仕え、正義と平和を求めました。
困難に直面している多くの兄弟姉妹の切実な求めに対し、わたしたちが心を開くことができるように、助けてください。
また、生命と家族を大切にすることができるよう、勇気を与えてください。
Ⅵ 聖ルイよ、
あなたは、異教の地で、勇気をもって主キリストへの信仰を証ししました。
わたしたちが新しい福音宣教の道をたどることできるよう、導いてください。
主よ、
聖ルイの模範と取り次ぎによって、わたしたちがどのような決意をするときも、
福音から生活へ、生活から福音へ移り、永遠のいのちを仰ぐ歩みにおいて行うことができますように。
アーメン。
God, Our Father,
We give you thanks for the wonders that you have accomplished through your servant Saint Louis. He consecrated his life to the service of your Kingdom according to the example of Saint Francis of Assisi. This is why he has been chosen, with Saint Elizabeth of Hungary, as co-patron of the Secular Franciscan Order. We therefore ask Saint Louis to be close to each one of us and to the entire Franciscan Family.
You, who considered your baptism as the greatest gift received, rekindle in us the grace of our own baptism and of our profession in the Secular Franciscan Order.
You, who meditated on the Word of God every day, help us to live the Gospel, to conform our lives to the life of Jesus, poor and crucified, and to offer our lives out of love for our brothers and sisters.
You, who understood in your youth the horrors of sin, help all young people in the Franciscan Youth to grow in righteousness of heart and in fidelity to their baptism.
You, who were a loving husband and father, help our families to be a leaven of unity and peace in our world.
You, who served the poor, who sought justice and peace, open our hearts to the overwhelming needs of so many of our brothers and sisters who suffer, and grant us the courage to commit ourselves courageously to say “yes” to life and family.
You, who ventured bravely into foreign lands to witness to your faith in Christ the Lord, lead us along the path of the new evangelization.
Lord,
Through the example and intercession of Saint Louis, grant us to take all of our decisions by going from Gospel to life and life to Gospel, while having life in heaven clearly in our sight.
聖ルイ9世の生涯について
記念日…8月25日
在世フランシスコ会会員、同会の保護者、フランス国王(1214―1270)
1297年8月11日 ボニファチオ8世により列聖
ルイ9世は、1214年4月25日に生まれました。母ブランシュ・ド・カスティーユより、聖徳に関して厳しく教育されます。1226年にフランス国王に即位。1234年にはプロヴァンスのマルガリタと結婚し、信仰に基づく節度ある関係を保ちました。
王は、王宮の中でも祈り、償い、黙想など、むしろ修道院にいるかのように生活します。部屋でも路上でも祈り、口に出しても、あるいは頭の中でも祈るよう勧めています。王としての祝いの食事をすることはありましたが、小さき兄弟会の会員にならって節制し、主の最後の晩餐のようにハンセン病者などの足を洗って食事をすることもありました。自分の領地は、愛徳を行う畑でもあるかのように見なしました。「わたしにとって余分な物は、この世の空しい光栄のためよりも、神の愛のための施しに使いたい」と述べていました。
彼は、ヴェサの森と呼ばれる所の樫の木の下で、誰の意見でも取り入れるために謁見を許しました。正義をその王国の基本とし、長男に次のように言いました。「お前が正しくない政治を行うのなら、むしろスコットランド人がやって来て、お前の代わりに国を治めた方が良い」。
ルイは、救いに役立つ実用的な知識や教育を絶えず求めていました。多くの信心業を実行し、政治の上でも神の教えにそった行動を追求しました。一方、生涯をかけて、聖地をトルコ人の手から解放することも夢見ました。しかし、彼が計画した最初の十字軍(第7回十字軍)は失敗に終わります。十字軍は敗退し、王自身、捕虜になってしまいます。気品ある王の行動はトルコ人の心を打ち、「正しいスルタン(イスラム教の王)」と呼んだと伝えられています。この深い挫折を体験して以降、ますます祈り、困難にある人を助けました。2回目の遠征(第8回十字軍)の際には腸チフスにかかり、1270年8月25日、病に没します。死の直前に、チュニジアのハフス朝スルタンに使者を派遣し、次のように伝えさせました。「あなたとあなたの民がキリスト教徒となるのなら、わたしは生涯サラセン人の牢獄で日の目を見ることなく過ごしても良い」。
ルイは、在世フランシスコ会の保護者ともされています。フランス国王の中では、「聖王」とも呼ばれ、最も賢明で行動力のあった王とされ、フランスの歴史においてもよく知られている人物です。
+ 祈りましょう
神よ、あなたは、聖ルイ9世を豊かな賜物で満たし、地上の王冠から永遠の王冠へと高められました。わたしたちも、地上の国の建設のために働きながら、永遠の町を目指して歩むことができますように。わたしたちの主キリストによって。アーメン。
聖ルイ9世についてもっと知るために
聖ルイについて、日本語で読むことのできる本がいくつかあります。
❖アラン・サン=ドニ『聖王ルイの世紀』福本直之訳、文庫クセジュ、白水社、2004年。188ページ。
新書版で、聖ルイについて日本語で知るためには、最も入手しやすいものかと思われます。生涯や精神について簡潔にまとめられています。歴史的な観点を中心にしています。
❖ジャック・ル・ゴフ『聖王ルイ』岡崎敦・森本英夫・堀田郷弘訳、新評論、2001年。1224ページ。
フランスの著名な歴史家による大著。その内容・分量ゆえに価格もかなり張りますが、生涯について非常に詳しく記されています。
信仰熱心な王として国をどのように統べようとしたかを、時代の違いを考慮しながらもその根本をよく思いめぐらす中で、在世で福音を生きる在世フランシスコ会会員としての歩みに何らかの示唆が浮かび上がって来るかも知れません。特に西欧の歴史に興味の深い方には読み応えのあるものでしょう。
フランシスカンとして特に興味深いのは、第3部・第7章「聖ルイの宗教」の部分かも知れません。それによれば、聖ルイがシトー会、小さき兄弟会、ドミニコ会と深い関係があったことが述べられています。小さき兄弟会の聖ボナベントゥラとも親交があり、聖ボナベントゥラは19回の説教を聖ルイの前で行っています。熱心に祈りを行い、聖体を深く敬い、学者ではないにも関わらず信仰について勉強熱心で、多くの著作に目を通していました。中でも聖書を熱心に読んでいたことは、福音を生きるフランシスカンの精神にも通じるような気がします。
❖ジャン・ド・ジョワンヴィル『聖王ルイ―西欧十字軍とモンゴル帝国―』伊藤敏樹訳、ちくま学芸文庫、筑摩書房、2006年。493ページ。
残念ながら、店頭での入手は難しく、中古での入手がなんとか可能な状態です。文庫本ですが、文字が小さく、かなり濃い内容となっています。聖ルイと共に十字軍遠征に同行した人物の著作。収録されている聖ルイの遺言はとても興味深いものがあります。
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