2024年2月11日
年間第6主日
教会の声はイエス様の声です ― 「よろしい。清くなれ」
年間第6主日の福音書は、イエス様が重い皮膚病の人を癒す素晴らしい奇跡物語です。今日の福音書(マルコ1章40節-45節)をよく理解するために、レビ記13章と14章を読む必要があります。レビ記は重い皮膚に関する規定について語ります。聖書の世界でこの病気にかかった人々が受けた苦しみは、レビ記の規定から想像できます。「重い皮膚病にかかっている患者は、衣服を裂き、髪をほどき、口ひげを覆い、『わたしは汚れた者です。汚れた者です』と呼ばわらねばならない。この症状があるかぎり、その人は汚れている。その人は独りで宿営の外に住まねばならない」(レビ13章45-46節)。古代イスラエル人は体の外側にあるもの、即ち皮膚病のことについて非常に心配をしていました。当時、重い皮膚病が伝染病であると思われていましたので、重い皮膚病の患者は社会から離れて住んでいました。
古代イスラエルで重い皮膚にかかっている人の場合、誰かが彼に近付いた際は、「わたしは汚れた者です。汚れた者です」と叫ぶ必要がありました。さらに、彼は社会や共同体から疎外されていました。おそらく疎外されることは耐え難いことであり、共同体とともに行う、神への礼拝にも与ることができませんでした。古代イスラエル人によると、重い皮膚病は神からの呪われたという概念でした。レビ記のこの規定が今日の福音の奇跡物語の背景です。
重い皮膚病の人はイエス様のところに来てひざまずいて、「御心ならば、わたしを清くすることがおできになります。」と願いました。古代イスラエルの規定によると、重い皮膚病の人はまず神殿に行って、祭司に見せるべきでした。しかし、この人は神殿に行かないで、直接イエス様のところに行きます。ここで、イエス様は、マタイ12章6節に、自分についてこのように言われたことを思い出しましょう。「言っておくが、神殿よりも偉大なものがここにある。」 神殿は神性と人間性が一つになる場です。イエス様のところに来た重い皮膚病の人は、イエス様において神性と人間性が一つになっていると信じます。イエス様こそがその聖なる場であり、聖なる臨在であると見極めます。レビ記で祭司は、その人が汚れているか汚れていないかとその体の患部を調べていました。しかし、この重い皮膚病の人は、イエス様だけが彼を清め、癒す権威と力を持っていらっしゃると信じます。彼はイエス様との距離を置かないで、また「わたしは汚れた者です。汚れた者です」とも叫ばないで、直接イエス様と接触したので、とんでもない過ちを犯したと思っています。その人はイエス様を感染の危険にさらしたに相違ないのです。
皆さん、ある時、私たちは罪を犯したゆえに、心が汚くて神様が臨在される中に入るのは、ふさわしくない者であると思うかもしれません。罪を犯した結果、イエス様とその共同体にかかわる価値を失ったと思ったりするかもしれません。このような考え方は間違っていますね。今日の福音書を読めば、私たちの思いは変わるでしょう。この重い皮膚病の人は、正しい霊的な態度を表します。重い皮膚病の人はイエス様との出会いによってイエス様を汚したりはしません。彼はイエス様を普通の人間と見なさないで、真の神と見なします。彼は「イエス様との出会いが私を清くするだろう」と信じます。これが私たちが、持つべき態度ではないでしょうか。
「私はひどい罪を犯したので、神様が絶対赦して下さらないだろう」と、このように考えることは本当に悲しいことです。なぜなら、私たちは神を汚すのではなく、神との関りによって清められ癒やされるのです。重い皮膚病の人が信頼と希望を持っていたように私たちも信頼と希望を持ちましょう。主との素晴らしい出会いの瞬間はどれほど美しいでしょうか! 重い皮膚病のような人や病気の人が私たちのところに来たとき、古代イスラエル人が振る舞ったように戸惑うかもしれません。しかし、イエス様は戸惑うどころか、イエス様は深く憐れんで、手を差し伸べてその人に触れ、「よろしい。清くなれ」と言われました。これが教会の秘跡の精神です。「よろしい。清くなれ」というのは教会の声なのです。誰かが洗礼や赦しの秘跡、ご聖体の秘跡や病者の塗油の秘跡を望んだ場合、その人をいつも受け入れて「よろしい。清くなれ」というイエス様の声を通してその人の心を癒しましょう。
イエス様がその人に触れた時、たちまち重い皮膚病は去り、その人は清くなりました。彼はそこを立ち去ると、大いにこの出来事を人々に告げ、言い広め始めました。これは良い知らせを伝えること、福音宣教と呼ばれています。イエス様に癒されたことを全ての人に言い広めることは、真の福音宣教です。真の福音宣教者のように「イエス様は私に触れました。私を赦してくださいました。私は主との出会いによって癒されました。あなたたちも同じような体験をしてください」と皆さんに伝えましょう。
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